「ダイビングってサメとか危険な生物は大丈夫なの?」と聞かれることが良くあります。基本的にダイビングで出会う海の生物が意図的にダイバーを襲ってくることはありません。
海の生物にいたずらをしたり、驚かせたり、捕まえようとしなければ、被害に遭うことはほとんどありません。海の生物がダイバーに攻撃してくるのは自分達を守るための防衛本能による行動です。
サメもダイビングで出会うサメは大人しいサメばかりです。人を攻撃するとイメージされているホホジロサメやイタチザメなどのサメは基本的に警戒していてダイバーには近づいてこないです。
ごくまれに起こる被害は漂流して水面に浮いているなどエサと間違えられているケースになります。
それでも、やはり気を付けなくてはいけないダイビング中の危険生物はいます。今回は知らないと危険な沖縄のダイビングで出会う危険生物を10選にまとめて紹介します。
危険生物を写真付きで、注意事項、対処方法、症状、応急手当について記載します。ダイビングを楽しむ方には必見の内容です。
この記事を読むことによって、ダイビングの危険生物の外見がわかるようになり、出会ったときの対処法、被害を受けてしまった時の応急手当がわかるようになります。
目次
ダイバーにとっては、サメやエイよりも身近で絶対に知っておきたい沖縄のダイビングで出会う危険生物です。
ダイビングの危険生物に関してはダイビングの危険生物にも記載しています。ぜひ参考にして下さい。
オニダルマオコゼ
参考サイト : 魚類史上・最強の猛毒 オニダルマオコゼ
ダイビングでは砂地や岩場に擬態しているオコゼやカサゴの仲間には注意が必要です。そのなかでも魚類史上、最強の猛毒を持つオニダルマオコゼには特に気をつけるようにして下さい。
オニダルマオコゼは体長40センチを超えるオコゼの王様です。全体的に丸く、口と目は上を向いています。背鰭に袋状の皮膚をかぶった棘があり、強力な神経毒を分泌します。
オニオコゼ亜科の仲間はすべて背鰭に毒腺を持っていますが、オニダルマオコゼはとくに毒性が強く、刺された人を死に至らしめることもあります。
注意事項
浅い水深から生息していて、岩にそっくりの姿をして、砂泥中に体を半分埋もれさせるなど見つけづらい状態でいることが多いため、シュノーケリングやダイビングを行う際にはとくに注意が必要です。
目視確認が難しく、ダイビング中に気がつかないで手をついてしまったり、誤って踏みつけると、ダイビングブーツさえも突き抜けて足の裏に深く刺さることがあります。
症状
刺された箇所は紫色に腫れあがり、猛烈な痛みにおそわれます。刺された箇所によってはその部分が壊死することもあります。重症の場合はあまりの激痛に意識障害を起こし呼吸困難、痙攣、最悪の場合は死亡するケースがあります。
一度オニダルマオコゼに刺されると、スズメバチに刺されるのと同様、アナフィラキシーショック(アレルギー反応の一種)を起こすことがあり、膝ほどの水深でも間違って刺されれば、動きが取れなくなり溺死する可能性もあります。
応急手当
刺された場合は、周りの人に助けを求めて水から上がって下さい。傷口を真水で洗い、毒が傷口から出るようであれば絞り出します。そして刺された部分よりも心臓が近い部分を縛り、毒がまわるのを抑えて下さい。
毒はタンパク質なのでやけどに注意しながら40~50度ぐらいの熱湯に60~90分つけます。救急車を呼ぶ、もしくは早急に病院にいき医師の診断を受けてください。
ハナミノカサゴ
参考サイト : 白く羽のように綺麗な鰭に毒 ハナミノカサゴ
ハナミノカサゴは全身の鰭をまるで白い羽のように広げて優雅に泳ぎます。ダイビング中もその姿に魅了され、写真を撮りたくなります。しかし、普段は動きが遅いのにしつこく追い回すと、急に素早くダイバーに向かって毒棘で攻撃してくることもあります。
頭部、胸鰭、背鰭に毒棘があり、毒性もとても強いので写真撮影はほどほどにしましょう。外見が似ている近似種では、ミノカサゴ、ネッタイミノカサゴ、キリンミノなどが沖縄のダイビングで良く見かけます。
症状
もし、刺されてしまった場合は患部が急激に痛み出し、膨張します。その後、全身に痛みが広がります。症状は腫れ・痛み・嘔吐・呼吸困難などを起こします。
応急手当
ダイビングはすぐに中止して、傷口を良く洗い、40度~50度の熱いお湯に60分~90分ほどつけます。痛みがひいても、棘が残っている可能性があるので医師の診断を受けるようにしてください。
オニカサゴ
参考サイト : 水底に擬態する危険な魚 オニカサゴ
ダイビングでは砂地や岩場などの水底に擬態している危険な魚がいます。フサカサゴ科のオニカサゴやウルマカサゴ、オニオコゼ科のオニダルマオコゼ、オニオコゼ、ヒメオニオコゼなどが代表的な種かと思います。
擬態しているので気がつかないで手をついてしまったり、中性浮力がとれないで水底を這いつくばってしまったりしていると、とても危険です。
症状
カサゴやオコゼの仲間は背鰭の棘に強力な神経毒があります。刺された箇所は紫色に腫れあがり、猛烈な痛みにおそわれます。重症になると呼吸困難や心臓衰弱まで起きる可能性があるのです。
とくにオニダルマオコゼはとりわけ毒性が強く、刺された人を死に至らしめることもあります。
応急手当
刺された場合は、傷口を真水で洗い、毒が傷口から出るようであれば絞り出します。その後、やけどに注意しながら40~50度ぐらいの熱湯に60~90分つけます。棘が残っている可能性があるので病院での診察を必ず受けましょう。
ゴンズイ
参考サイト : 死んでも失われないゴンズイの毒棘
ダイビング中に砂地や岩陰でゴンズイを見かけることがあります。ゴンズイはナマズの仲間で茶褐色の体に頭部から尾部にかけて2本の黄色い線があります。
幼魚のときは集団で行動する習性があり、巨大な団子状になるため、「ごんずい玉」とも呼ばれています。背びれと胸びれには、毒棘(どくきょく)と呼ばれる鋭い毒のトゲがあり、刺されると焼けつくような激痛に襲われます。
又、ゴンズイの毒は死んでも失われず、死んだゴンズイを知らずに踏んでしまう危険性もあります。
症状
激痛、やけどのような痛み、傷口がひどく腫れる、しびれや痛みが長時間続きます。そのまま放置すると傷口の周辺が壊死を起すこともあります。
応急手当
ゴンズイの毒はタンパク質のため熱に弱く、60℃以上の高温で毒の成分が分解されると言われています。
そのため、火傷にならない程度の高温熱湯(43~50℃程度)に患部を浸す方法が、毒成分を不活性化させ痛みを和らげる応急処置として効果的だとされています。
痛みが和らいでも医師の診断は必ず受けるようにしましょう。
モンハナシャコ
参考サイト : 地球最速の速さ・二十二口径の拳銃に匹敵するシャコパンチ
モンハナシャコの体長は15センチ程度でシャコの仲間になります。体色は青緑色と赤色、眼柄は青色、尾扇の縁は鮮やかな赤色で水中でとても目立ちます。浅い海のサンゴ礁や砂底に穴をほりその中に生息しています。
肉食性で、捕脚を高速で打ち出し、魚を気絶させたり、貝の殻、カニの甲羅、エビの甲羅など容易く叩き割る事が出来ます。地球上のあらゆる生物の中で一番早いその速さは時速80kmにも達するといわれ、捕脚を降りだすように伸ばして相手を殴ります。その加速は体長15cmの時点で二十二口径の拳銃に匹敵するといわれています。
注意事項
ダイビングで観察中にマスクを割られたり、水中カメラのハウジングを割られるなどの報告例があります。また、海外のダイバーの中では決して近づいてはいけない生物として認識されています。
オニヒトデ
参考サイト : オニヒトデのアナフィラキシーショック・全身アレルギー
オニヒトデは大型のヒトデで大きさは30センチ~60センチほどまで成長します。多数の腕を持ち、全身が棘に覆われ、体の色は灰色や、オレンジ色、青色などさまざまで、珊瑚の下などに隠れています。たびたび沖縄でも大量発生が問題になり、駆除中の事故も発生しています。
成長の速いミドリイシ類やコモン珊瑚類を食べ尽くして、成長の遅い珊瑚まで食べるため、珊瑚を死滅させてしまう危険性が問題視され、サンゴ礁環境のなかでは保全上有害とされています。
オニヒトデは全身を覆う毒針で、人を刺します。特にダイビング中や駆除作業のときに誤って触れてしまい、死亡するケースなどが報告されています。
症状
主な症状は痛みや腫れで、痛みは激痛と言われるほどの痛みになります。腫れに関してはすぐに腫れる場合もあれば、数日たってから腫れる場合もあります。指先を刺されただけで手がグローブのように膨れ上がる場合もあるようです。
又、場合によっては毒に対してアナフィラキシーショックと呼ばれるアレルギー反応を起こして、呼吸困難などの全身症状を生じる場合があり、最終的には死にいたるケースも発生しています。
応急手当
もし、刺されてしまった場合はダイビングはすぐに中断して海から上がります。患部に刺さった針が残っていれば取りだし、刺された場所を圧迫してしぼり、毒を体外に出します。
毒をある程度除去できたら、患部に45~55度の熱いお湯(できれば55度以上)を長時間かけ続け、毒を死活させます。いずれも医師の手当ては受けるようにしてください。
ダイビング中にふざけて珊瑚礁のためにとダイビングナイフや指示棒で刺したりしているダイバーを見かけますが、とても危険です。
ガンガゼ
参考サイト : ウエットスーツを貫通するガンガゼの長い棘
ガンガゼはウニの仲間で長い棘に毒があり、刺さると激しい痛みをおこします。全体に黒紫色で上から見るとほぼ円形で底が平らな半球形をしています。棘は長いものは30cm以上に達します。
一般的なウニであるムラサキウニやナガウニ、バフンウニなどは、多少触ったくらいではほとんど深傷にはなりません。
しかし、ガンガゼの長い刺は細くて鋭く、その先端はウエットスーツやグローブも貫通して、簡単に人の皮膚に突き刺さります。表面に逆刺があり、しかも折れやすいために、皮膚内部に折れて残ることが多く、ひどく痛みます。
ダイビング中に岩をつかんだり、ひざを突く時はガンガゼがいない事を確認してください。ウェットスーツやグローブ、ブーツ等を着用していても刺さります。
症状
ガンガゼに刺された場合の症状は、炎症を起こし、腫れやヒリヒリとした強い痛みがあります。ひどい場合は手足の筋肉のマヒや呼吸困難を起す事もあります。さらに、棘は簡単に折れて刺さった体の中に残るので、いつまでも痛みを継続させます。
応急手当
手当ての仕方は目に見える大きな棘は取り除いたほうが良いですが、取れない場合は無理せずに病院で取ってもらうようにしてください。
刺された部位を消毒して真水で洗い、40~50℃のお湯に30分以上つけます。痛みや腫れが引かない場合は病院で手当てを受けるようにしてください。又、棘は数日待てば体内で溶けてなくなります。
ラッパウニ
参考サイト : 容姿が特徴的、ラッパウニ
海には様々な種類のウニがいます。ウニには毒のある種類もあります。ウニの中でもラッパウニはウニに見えない容姿が特徴の有毒のウニになります。
毒のある種類で有名なのはガンガゼやガンガゼモドキ等の南日本に多く生息しているウニです。その他、毒のある種は「イイジマフクロウニ」等のフクロウニ系があります。
ラッパウニは他のウニとは違いラッパ型の針をしておりその中に叉棘と呼ばれる短い棘があります。普段は丸く開いてます。刺激が加わると折りたたまれます。ラッパウニの棘は内側に向けて生えてます。
棘は谷折りになっている箇所に生えているため、刺されるというよりは噛み付かれると表現した方が正しいかもしれません。
また、針よりも長い管足と呼ばれる器官もあり、その管足で周りの石、貝殻、植物の葉を身に纏っています。カモフラージュの為にしていると考えられていますが、人間の目で見る場合発見は容易です。むやみに触らない様にして下さい。
注意事項
ラッパウニは針も長くなく、棘も短い為手袋を着用すれば刺される心配はありません。しかし、浅瀬の岩場にも生息している為サンダル等で遊ぶ場合刺される危険があります。
応急手当
刺された場合、神経毒のため個人差はありますがしびれや息切れ、痙攣等の症状を引き起こす可能性があります。棘は素手で触らないようにして取り除き、患部を水で洗い40~50度のお湯に付けた後、医療機関で適切な処置を受けてください。
ゴマモンガラ
参考サイト : 海のギャングと呼ばれるゴマモンガラ
ダイバーのなかで「海のギャング」と呼ばれ、最も恐れられている魚のひとつです。ゴマモンガラはモンガラカワハギ科で最大の種といわれ、大きい個体では体長1Mを超える場合もあります。英名はTriggerfishと呼ばれ、銃の引き金を意味します。
注意事項と対処方法
性質はとても凶暴で荒く、特に繁殖期には攻撃的になり、卵を守るメスがいるすり鉢状の巣に近づく生物すべてに攻撃します。ダイバーが近づいてしまった場合も、硬い貝も砕く頑丈な歯で噛みついてきます。動くものに噛み付いてくる習性があり、フィン先などに噛み付いてきます。
巣に間違って近づいてしまった場合は速やかに巣から離れるようにしてください。ダイビング中に出会う機会が多い魚なので写真で特徴をしっかり覚えておいてください。
応急手当
ゴマモンガラに嚙まれてしまうと、ウェットスーツのうえからでも歯形が残り、出血の危険性もあります。 ゴマモンガラに毒はないので特別な手当は必要ありません。ダイビングは中止して出血している箇所の止血を行って下さい。
出血が止まらない場合はすぐに救急隊を読んで下さい。毒がなくても頑丈な歯と顎の力で傷が深い場合があります。止血後も医療機関には行くようにしてください。
クロガシラウミヘビ
参考サイト : 【コブラの10倍の毒性!?】クロガシラウミヘビと応急手当
沖縄の海でダイビングやシュノーケルの際に浅場から良く出会う機会が多い、クロガシラウミヘビはコブラ科に属するウミヘビで猛毒を持っています。ダイビングでは出会う機会がとても多く、ふざけて刺激を与えているの良く見かけますが、実はとても危険な生物です。
クロガシラウミヘビの特徴は頭部が小型で黒く、体形は細長く、全体の体色は淡黄色で黒い横の帯があります。全長は80センチから1メートル40センチほどです。マダラウミヘビと見分けにくいですが、頭部に対して眼が大きいことなどで見分けます。
クロガシラウミヘビは漢字では「黒頭海蛇」と書き、英名は「Black headed sea snake」と呼ばれます。日本では南西諸島の沿岸や沖縄に多く見られますが、北海道の海でも目撃例があります。
注意事項
ウミヘビは総じてあまり攻撃性を持たないといわれていますが、クロガシラウミヘビは比較的攻撃的で、ダイバーの姿を見て向かってくることもあります。ダイバーの方は決して近寄らないようにして下さい。
沖縄ではクロガシラウミヘビに咬まれたことによる死亡例が毎年のように出ており、とても注意が必要な海の危険生物です。ウミヘビは猛毒を持ったコブラの毒よりも強力で、毒性は数十倍とも言われています。
症状
クロガシラウミヘビの毒の成分は神経毒からなり、症状は、全身の倦怠感、筋肉痛、運動障害、呼吸困難、麻痺、そして最悪の場合は死に至ることもあります。
応急手当
クロガシラウミヘビに咬まれた場合は、噛まれた部分より心臓に近い部分をきつく縛り、毒を搾り出します。そして、一刻も早く病院へ急行し、医師による適切な治療を受ける必要があります。
ダイビングで出会う危険生物10選 まとめ
今回は知らないと危険な沖縄のダイビングで出会う危険生物を10選にまとめて紹介しました。危険生物を写真付きで、注意事項、対処方法、症状、応急手当について記載しました。ダイビングを楽しむ方には必見の内容です。
どの危険生物もダイビングしていれば出会う可能性があります。重要なのはそれぞれの危険生物によって症状と応急手当に違いがあります。それぞれの危険生物に合わせて対処する必要があります。
オニダルマオコゼ、ハナミノカサゴ、オニカサゴ、ゴンズイ、オニヒトデ、ガンガゼ、ラッパウニは傷口を真水で良く洗い、やけどに注意しながら40~50度ぐらいの熱湯に60~90分つけます。
写真 :火炎サンゴ(ファイヤーコーラル)
オニダルマオコゼ、クロガシラウミヘビは、外傷部分より心臓に近い部分をきつく縛り、毒を搾り出します。そして、一刻も早く病院へ急行し、医師による適切な治療を受ける必要があります。
どの危険生物の場合も、迅速にダイビングは中止して、医療機関と連携と取り、医師の診断を受けるようにしてください。
ダイバーにとっては、サメやエイよりも身近で絶対に知っておきたい沖縄のダイビングで出会う危険生物の10選でした。