ダイビングで使用するスキューバタンクは「アルミタンク」と「スチールタンク」があります。どちらにも特徴があり、メリットとデメリットがあります。それぞれの違いや見分け方を知らないとトラブルの原因になってしまいます。
それぞれのタンクの種類により、ウエイトの量が変わります。スチールタンクより、アルミタンクを使用している方が約2キロほどウエイトを増やさなくてはいけません。うっかり、スチールタンクの場合のウエイト量でアルミタンクを使用すると潜降すらできなくなってしまいます。
今回は、「アルミタンク」と「スチールタンク」の特徴や見分け方、ウエイトの量や注意点、それぞれのメリットとデメリットを徹底解説します。ダイバーの方のお役に立てたら嬉しいです。
当ショップではダイビングライセンスを取得してから期間(ブランク)が空いて不安なダイバーや経験が少ない初心者の方も安心してファンダイビングが楽しめるようにリフレッシュダイビングのコースをご用意しています。
ダイビングの基礎知識やオープンウォーターのライセンスコースを復習したいダイバーも歓迎です。
「アルミタンク」と「スチールタンク」の特徴や見分け方
上の写真は左がスチールタンクで右がアルミタンクになります。容量はどちらも10Lぐらいになります。スチールタンクとアルミタンクはそれぞれのタンクの素材が違います。日本国内では検査の関係上、スチールタンクが主流です。しかし、海外に行くとアルミタンクが圧倒的に多いです。
スチールは、鉄を主成分として、微量の炭素やマンガン、リンなどを加えて作る合金です。日本語では鋼鉄または鋼と呼びます。アルミと比べて素材が頑丈なため、同じ容量の10Lでも小さく作ることができます。又、タンクの底が丸くなっているため、タンクブーツを付けていないと倒れてしまいます。
アルミ(アルミニウム)は、他の一般的な金属よりも密度が低く、鋼鉄の約3分の1ほどです。素材が柔らかいため、厚く作らなければいけないため大きくなります。タンクの底は平らなため、タンクブーツを付けていないことがほとんどです。
見分け方はタンクブーツのあり、なしがわかりやすいです。しかし、保護のためにアルミタンクにもタンクブーツを付けている場合がたまにあります。慣れてくると素材の色に違いがあるため、区別できるようになります。
又、タンクの上部(ボトルネック)の形状にも違いがあります。スチールタンクのボトルネックは細くなっていますが、アルミタンクはボトルネックがほとんどありません。
スチールタンク
写真は、国内で最も一般的なスチールタンクで容量は10Lになります。タンクの重さは約13キロで充填された状態では約16キロになります。同じスチールでも容量が8Lや12Lなどのタンクもあります。
ウエイト量も変わります。10Lのタンクと比べて、8Lのタンクは細く、ウエイトを1キロほど増やさなくてはいけません。12Lのタンクは長く、ウエイトは1キロほど減らします。
メリット
- スチールタンクはウエイト量が少なくて良いです。同じ容量のアルミタンクと比べると1キロ~2キロほど軽くて良いです。
- スチールタンクは空気量の残量が変化しても浮力に対しての影響はほどんどなくマイナス浮力のままです。
- スチールタンクは素材が頑丈なため、コンパクトに作られているため車での運搬やボート上でもスペースを取りません。
デメリット
- スチールタンクは背中にマイナス浮力が集中するため、中性浮力、水平姿勢などのバランスが取りにくい。
- ダイビング器材は海外メーカーが多く、アルミを前提とした設計になっていることがあり、不便な場合がある。
- スチールタンクは5年に1度の耐圧検査のみのため、老朽化している可能性がある。(※国内)
アルミタンク
写真は、海外で最も一般的なアルミタンクで容量は約10Lになります。タンクの重さは約14キロで充填された状態では約17キロになります。同じアルミでも容量が8Lや12Lなどのタンクもあります。
ウエイト量も変わります。10Lのタンクと比べて、8Lのタンクはウエイトを1キロほど増やさなくてはいけません。12Lのタンクはウエイトは1キロほど減らします。
メリット
- アルミタンクは浮力があるため、中性浮力、水平姿勢などのバランスが取りやすい。
- ダイビング器材は海外メーカーが多く、アルミを前提とした設計になっている場合、器材を扱いやすい。
- アルミタンクは5年に1度の耐圧検査以外に、1年に1度のバルブ取り付けねじ部の目視検査がある。(※国内)
デメリット
- アルミタンクはウエイト量が増えます。同じ容量のスチールタンクと比べると1キロ~2キロほど重くなります。
- アルミタンクは水中で最初はマイナス浮力ですが、空気の残量が減るとプラス浮力に変化します。
- スチールタンクと比べて大きいため、車での運搬やボート上でスペースを取ってしまう。陸上では1キロほど重たい。
アルミタンクとスチールタンクのまとめ
アルミタンクとスチールタンクではウエイトの量に違いが出ます。スチールタンクに比べて、アルミタンクの場合は1キロ~2キロほどウエイトを増やします。アルミタンクは水中で浮力に変化があるため、最初はスチールタンクと同じ量のウエイトで潜降できたとしても、安全停止のときに浮いてしまうことになります。
ダイビング器材は海外メーカーが多く、アルミを前提とした設計になっているBCDは、日本国内で一般的なスチールタンクでは短く、BCDの下部の損傷が早くなってしまいます。
海外ではタンクは耐圧検査のみではなく、年に1度の視認検査が義務付けられている地域が多いです。日本国内にはありません。アルミタンクは専門家による1年に1度のバルブ取り付けねじ部の目視検査がありますが、視認検査とは違います。
タンクをレンタルで借りるダイバーにとっては、検査が少ないのはデメリットになりますが、所有するダイビングショップにとって維持費の面を考えるとメリットになります。日本国内でスチールタンクが一般的なのは検査代金を抑えるためになります。
ダイビングライセンスを取得してから期間(ブランク)が空いてる場合は知識的な面も忘れている場合があります。ブランクが長い場合はリフレッシュダイビングのコースがおすすめです。
オープンウォーターのライセンスコースの復習、器材セッティング、レギュレータークリア、マスククリア、中性浮力などの基本的な技術を復習することができます。