ダイビングスポットは岸からのビーチダイビングの場合はリップカレント(離岸流)に注意しなければいけません。リップカレント(離岸流)は沖に向かっていく流れで気が付くと岸へ戻れなくなってしまう可能性があります。
公益財団法人 日本ライフセービング協会(JLA)では海水浴場において溺水事故の約50%(2013〜2022年JLA調べ)がリップカレント(離岸流)によるものと発表しています。
リップカレント(離岸流)の事故は慌ててパニックになって溺れるケースがほとんどです。リップカレント(離岸流)の流れは沖で拡散します。はるか沖まで流されることはありません。落ち着いて行動すれば大丈夫です。
今回は、なぜリップカレント(離岸流)が発生するのか?、リップカレント(離岸流)の見分け方は?リップカレント(離岸流)に流されてしまった場合の対処法、沖縄本島の大度海岸について解説します。
ダイバーの方はリップカレント(離岸流)について理解することにより、安全なダイビングを楽しめるようになります。とくに岸からのビーチダイビングをセルフダイビングで楽しんでいる方には必見です。
目次
なぜリップカレント(離岸流)が発生するのか?
海には黒潮のような海流や、主に潮の満ち干が原因でできる潮流など、さまざまな流れがあります。リップカレント(離岸流)は発生しやすい地形と波が高いことで作られる岸から沖へ向かう強い流れです。
リップカレント(離岸流)が発生する地形
リップカレント(離岸流)が発生しやすい地形とは、岸から沖へ向かって狭い範囲で開けてるエリアに起きやすいです。例えば、沖縄のダイビングスポットは岸から沖へ行くと珊瑚の環礁に囲まれています。
自然の防波堤のように環礁の部分で波が砕けて、内海は穏やかになります。ダイバーは環礁の内側の穏やかな場所で準備できるため、初心者でもエントリーがしやすいです。
内海から沖へ向かって泳ぎ、環礁の切れ目から外海に出ます。その環礁の切れ目や隙間は狭い範囲で開けてるため、リップカレント(離岸流)が発生しやすい地形です。
同じように海底の地形が水路のように開けている場合もリップカレント(離岸流)が発生しやすいです。
波が高いことや干潮の時間帯で強くなる!
波は岸の近くでは、岸に向かって押し寄せるようになります。外海から環礁を越えて入った内海の海水は、いずれは溢れ出して沖に戻っていきます。その沖へ向かう流れがリップカレント(離岸流)になります。
波が高ければ、どんどん内海に海水が入ってきて溢れ出します。波が高い日はリップカレント(離岸流)が強くなります。
又、干潮の時間帯で潮位が低くなると珊瑚の環礁や内海と外海を阻んでいる地形はさらに海水を遮断します。海水の抜け道が環礁の切れ目や水路に集中するとリップカレント(離岸流)が強くなります。
まるでバスタブの栓を抜いた時のように穴の開いた場所だけ、外に向かって強く流れ出します。
リップカレント(離岸流)の見分け方は?
リップカレント(離岸流)の両側では環礁の部分で波が砕けて白くなっています。リップカレント(離岸流)が発生している場所は、水の通り道になっているため周囲に比べて波が砕けていません。陸上や水面から見ると穏やかに見えます。
波は白く砕けていたり、その大きさで海況を確認できますが、流れは視覚的には分かりにくいです。
陸上や水面から見ると狭い範囲で波が低かったり、白く砕けてないエリアが穏やかでダイビングしやすそうに見えますが、そこがリップカレント(離岸流)の発生しやすい場所です。
波によって押されて溜まった海水は狭い隙間を通り抜けて沖へ流されていきます。濁った水が沖へ向かって流れているのが見えたらリップカレント(離岸流)が発生しています。
ビーチ(岸)のダイビングスポットで水底にチェーンやロープが張ってあるのはリップカレント(離岸流)の対策の場合があります。
リップカレント(離岸流)に流されてしまった場合の対処法
ダイビングした経験があるダイビングスポットでもリップカレント(離岸流)によって流されてしまう危険性があります。リップカレントが起きやすい地形であっても、その日に波が穏やかであれば、リップカレント(離岸流)が発生していない場合もあります。
ダイバーがエントリーしやすい場所や沖へ泳ぎやすい場所はリップカレント(離岸流)が起きやすい地形の場合が多いです。その日に波が高かったり、潮が引いていて潮位が低い時間帯は、リップカレント(離岸流)が発生している場合があります。
沖縄本島のビーチポイントでもほとんどのダイビングスポットでリップカレント(離岸流)が発生する可能性はあります。
リップカレント(離岸流)に流されると「沖に流される」という恐怖感からパニックに陥ったり、岸に戻ろうとして流れに逆らって泳ぐことにより、疲労して溺れてしまう危険性があります。
まずは、落ち着くことが大切です。水面であればBCD(浮力調整具)に給気して浮力を確保します。そしてレギュレーターからシュノーケルに切り替えます。浮力と呼吸の確保を済ませて、呼吸が落ち着くのを待ってから落ち着いて考えます。
水中であれば、一度泳ぐのを止めて周囲の岩などにつかまって呼吸が整うのを待ちます。残圧系の確認も行なって下さい。空気の残量が少なければ水面に浮上して浮力と呼吸の確保を行います。
水面で岸から平行に泳ぐ
水面でリップカレント(離岸流)から逃れるには、岸に対して平行に泳いでリップカレント(離岸流)から抜け出します。水面で波が砕けて白くなっている場所はリップカレント(離岸流)が起きていません。
リップカレント(離岸流)がなくなるところまで、移動したら岸に向かって泳いで戻ります。
リップカレント(離岸流)から逃れる方法はダイビングの教本(マニュアル)やネットでの検索ではほとんどがこの方法です。
リップカレント(離岸流)は波が高いことにより、強くなります。リップカレント(離岸流)が起きていない場所は珊瑚の環礁や海底の地形により、波が当たっています。
波が当たっている場所でフィンを外して立ち上がるのはとても大変です。水深が浅くなることを考えて、素早くフィンを外して立ち上がれるように準備が必要です。
岸に戻ることができない場合は、リップカレントは狭い範囲で開けてるエリアのみに発生します。はるか沖まで流されることはありません。
水面でBCD(浮力調整具)にしっかりと給気して浮力を確保します。水中から戻ることができないのであれば、ウエイトは外して下さい。シュノーケルに切り替えます。
緊急用のシグナルフロート(サーフェスマーカーブイ)を膨らませて助けを呼びます。シグナルフロートがない場合は大きく手を振って助けを求めます。手を大きく振るのはダイバーはもちろん、海水浴場における世界共通のヘルプシグナルです。
水中でリップカレント(離岸流)に逆らって進む
リップカレント(離岸流)に流されても、落ち着いていて空気の残量が残っていればリップカレント(離岸流)に逆らって進むことが可能な場合があります。
流された場所と違う場所に移動しても、ダイバーが岸に戻りやすい環礁の切れ目や隙間、水路は似たような環境のため同じくリップカレント(離岸流)が発生している場合があります。
リップカレント(離岸流)の強い場所は狭い範囲で開けてるエリアのみになります。岸が近いため水深も浅い場所がほとんどです。
BCD(浮力調整具)の空気をしっかりと抜いて、水底の岩などにつかまりながら少しずつ前進します。フィンキックは息が上がりやすいので、最小限にして腕の力で前進します。リップカレント(離岸流)の強いエリアは長くありません。
ダイビングスポットによってはリップカレント(離岸流)が起こりやすい場所の水底にチェーンやロープが張ってある場合があります。この場合もチェーンやロープにつかまりながら前進します。
沖縄本島の南部「大度海岸」
沖縄本島の南部、糸満市の「大度海岸」はジョン・万次郎が上陸したことからジョン万ビーチとも呼ばれているダイビングスポットです。ダイバーだけではなく、シュノーケリングを楽しむ方も多いです。
大度海岸はリップカレント(離岸流)が発生することで有名なダイビングスポットです。現地のダイビングガイドの引率であればリップカレント(離岸流)を利用して外海で安全にダイビングを楽しむことが可能です。
干潮時には内海と外海にはっきりと分かれます。内海はとても穏やかで珊瑚が群生してスズメダイやチョウチョウウオがたくさん群れています。リップカレント(離岸流)を利用して外海に進むとダイナミックな地形ポイントになっています。
現地ガイドの引率がない環境で、ダイビングやシュノーケリングをしているとリップカレント(離岸流)が発生しやすいエリアで水路に吸い込まれてしまい外海に出てしまう危険性があります。
大度海岸は現地ガイドの引率なしでダイビングやシュノーケリングを楽しむのは危険です。必ず、現地ガイドの引率のもとで水に入るようにして下さい。
当ショップのファンダイビングでもご案内可能です。ご希望の方はリクエストお待ちしております。
リップカレント(離岸流)の対処法 まとめ
ダイビングスポットは岸からのビーチダイビングの場合はリップカレント(離岸流)に注意しなければいけません。リップカレント(離岸流)は沖に向かっていく流れで気が付くと岸へ戻れなくなってしまう可能性があります。
リップカレント(離岸流)が発生しやすい地形とは、岸から沖へ向かって狭い範囲で開けてるエリアに起きやすいです。珊瑚の環礁の切れ目や隙間は狭い範囲で開けてるため、リップカレント(離岸流)が発生しやすい地形です。
外海から環礁を越えて入った内海の海水は、いずれは溢れ出して沖に戻っていきます。その沖へ向かう流れがリップカレント(離岸流)になります。波が高い日はリップカレント(離岸流)が強くなります。
リップカレント(離岸流)の両側では環礁の部分で波が砕けて白くなっています。リップカレント(離岸流)が発生している場所は、水の通り道になっているため周囲に比べて波が砕けていません。
リップカレント(離岸流)に流されてしまった場合は落ち着くことが大切です。水面であればBCD(浮力調整具)に給気して浮力を確保します。レギュレーターからシュノーケルに切り替えて下さい。
水中であれば、一度泳ぐのを止めて周囲の岩などにつかまって呼吸が整うのを待ちます。残圧系の確認も行なって下さい。
水面でリップカレント(離岸流)から逃れるには、岸に対して平行に泳いでリップカレント(離岸流)から抜け出します。リップカレント(離岸流)がなくなるところまで、移動したら岸に向かって泳いで戻ります。
沖縄本島の南部、糸満市の「大度海岸」はリップカレント(離岸流)が発生することで有名なダイビングスポットです。現地ガイドの引率なしでダイビングやシュノーケリングを楽しむのは危険です。
リップカレント(離岸流)の事故は慌ててパニックになって溺れるケースがほとんどです。リップカレント(離岸流)の流れは沖で拡散します。はるか沖まで流されることはありません。落ち着いて行動すれば大丈夫です。
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